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プロダクトマーケットフィットとは?新規事業成功の鍵を握る概念を解説

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新規事業やスタートアップの達成指標に用いられることが多いプロダクトマーケットフィット(PMF)。
シリコンバレーのベンチャーキャピタリストで有名なマーク・アンドリーセン氏によって提唱され、多くの起業家に知れ渡っている用語です。

このプロダクトマーケットフィットは、どうして日本でも注目され始めているのでしょうか。
用語の解説と共にプロダクトマーケットフィットの重要性を紹介します。



プロダクトマーケットフィット(PMF)とは

その名の通り、プロダクトとマーケットがフィットする。つまり、良い商品が適切な市場で顧客に届けられている状態のことを指します。

英語で記述すると「Product Market Fit(プロダクトマーケットフィット)」となり、頭文字を取って「PMF」と表現することもあります。

「とても良いサービスなんです!」と身内で賞賛されている商品があったとしても、適切な市場に出回らなければビジネスとしては成立しません。どんなに良いサービスでも、それを求めている人のもとに届かないと継続して売り続けることは難しいといえます。

反対に売れる市場を知っていても、その市場に見合うサービスがなければ売上を上げることは不可能です。そもそもサービスにおける顧客満足度が低ければ事業は成功しません。満足度が低いサービスを売り続けるのは、大きな機会損失にもなりえます。

このように、商品だけ良い状態も参入市場だけが良い状態でも好ましくなく、

・顧客のニーズを満たす商品であること
・商品に適した良い市場でビジネスを行うこと

この2つが満たされている状態が事業の成長には欠かせません。
そうした認知・認識が広がってきたことで、指標の一つとしてプロダクトマーケットフィットが注目されるようになりました。



プロダクトマーケットフィットを達成させるためには

では、プロダクトマーケットフィットの達成へと進むにはどのような手順を踏めば良いのでしょうか。ポイントは出来る限り少ないリソースで顧客の反応や市場の手ごたえを確認していくことにあります。

最小実行可能製品MVPを作る

MVP(Minimum Viable Product:ミニマムバイアブルプロダクト)とは「実用最小限の製品」という意味です。MVPは機能が少ない商品を作ることと解釈されやすいのですが、あくまでもある目標を達成する為に最小限の機能を備えている商品を作ることがポイントとなります。

MVPを作る目的は、開発したサービスが本当に顧客に対して価値のあるものかを検証するためです。あらゆるリソースをつぎ込んだ商品を作るとなると時間もコストもかかります。その為、まずはどのような機能が盛り込まれた商品であれば、特定の顧客のニーズを満たすことができるのか突き止めます。

MVPを市場に投入

顧客の反応を見るには実際に使ってもらう必要があります。

実用最小限の機能が備わったMVPを作成し、市場に投入します。ここで重要なのが、将来的に顧客となりえる層にテスト段階から使用してもらうことです。

MVPは使用した顧客からの使用感やフィードバックを元に改善していく前提のものです。そのため、ターゲット外の層から得たフィードバックは質の良いものとは言えません。速やかに商品の改善を行う為にも、ターゲット層を見失わず、フィードバックの回収や反応の検証を進めることが大切です。

改善を行う

顧客の検証、市場の検証。これらを繰り返し、市場のニーズや商品の価値を確かめていきます。地道な方法にも思えますが、少しずつ仮説を実証し改善していくことが重要です。

MVPを使って何度もPDCAサイクルを回すことで、よりプロダクトマーケットフィットを達成させたサービスに仕上げていくことが可能といえます。



プロダクトマーケットフィットの達成状態とは

顧客の満足度も市場に受け入れられているかの状態も目には見えにくいものです。ではどのようにプロダクトマーケットフィットを達成していることを確認するのでしょうか。実は決まった一つの手法がある訳ではなく、様々な調査を用いて達成度合いを確認できます。

多くの企業で採用されている調査方法を3つ紹介致します。

Product/Market Fit Survey

プロダクトマーケットフィットを定量的に調査できる手法です。Dropboxのグロースを行った起業家のショーン・エリス氏によって発案されたこの方法は「もし●●の製品が無くなったら」という質問を投げかけ、どれくらい残念な気持ちになるのかを調べる方法です。

[質問内容、回答項目例]

Q.この商品が無くなったらどう思いますか?

A.
①とても残念
②やや残念
③残念ではない
④利用していない(該当しない)

上記の質問を顧客に投げかけ、「①とても残念」の割合が40%以上だった場合、顧客がその商品を今後継続して利用すると判断できることから、プロダクトマーケットフィットの達成を表すと考えられています。

既に顧客に向けてのアンケート調査を実施している場合はこの項目を一つ設けてみても良いかもしれません。

NPS(ネットプロモータースコア)

顧客の満足度、ロイヤリティーを調べる方法です。ビジネス戦略家フレッド・ライクヘルド氏によって提唱された調査法で、顧客に「この商品を周囲に薦める可能性はどの程度ありますか?」という質問を投げかけ10段階で評価してもらうものです。

多くのアンケートで用いられていることから、ご自身でも携帯会社や飲食店のアンケートで回答経験がある方も多いのではないでしょうか。

指標の判断方法としては

・10~9:推奨者
・8~7:中立者
・6~0:批判者

の3段階に分け、高い数値を回答した「推奨者」の割合から6以下の数値を回答した「批判者」の割合を引きます。結果は-100% 〜 100%で表され、多くの場合マイナスの数値が出ますが、その数値がサービスのスコアとなります。このスコアが高いほどロイヤリティも高いということになります。

ただ、グローバル企業のNPSスコアを見ると、サービスが世界中に広まっている、つまり、プロダクトマーケットフィットを達成していると見なせるにもかかわらずスコアが低い場合があります。その為、プロダクトマーケットフィットをNPSスコアのみで判断することは難しいとの意見もあります。

リテンションカーブ

一定期間リピートしている顧客の割合を時間の変化と共にグラフ図で可視化したものをリテンションカーブと呼びます。リテンションは継続性を意味します。

顧客がその商品を気に入っていれば繰り返し利用します。
例えば、サブスクリプション型のサービスやSaaSを提供している企業では、リテンション率を継続的にモニターしていることが多いです。

縦軸をリテンション率、横軸をリリースからの経過時間としたグラフで表されるリテンションカーブ。重要なのはその傾きです。

リテンション率が最初の1か月時点で高いものの、3か月時点でリテンション率がほぼ0に近づけばリテンションカーブは急な角度を取ります。対して、もしリテンションカーブが横這いの状態を続けていればそれは商品が顧客に気に入られていることとなります。

つまり、プロダクトマーケットフィットを達成している商品ではリテンションカーブは平坦になり、その平坦の始まりがリリース時期に近いほど最高の商品、サービスであると考えられます。



まとめ

プロダクトマーケットフィットの重要性や検証方法について紹介致しました。

新規事業が失敗する最大の理由は「市場に需要がなかったから」とされています。分かり切ったような要因にも見えますが、いざ自社でプロダクトを進めるとなるとつい当初の目的やターゲット層を見失ってしまいます。

今回紹介した指標等を活用しながらサービス開発を進めることで、ブレずにプロダクトマーケットフィット達成へと進みやすくなるかもしれません。